川端康成の死の半年後の昭和四十七年十月、井上靖を理事長として、財団法人川端康成記念会が 設立され、十一月十五日に文部大臣により設置が認可された。翌年一月十六日の財団評議員会で短 編小説を対象とする「川端康成文学賞」の創設が決まった。それより前、役員のうちの文学関係者、 井上靖(理事長)北条誠・川端香男里(常務理事)、小田切進(理事)、山本健吉、中村光夫、舟橋聖一、藤田圭雄、今日出海、瀬沼茂樹、徳田雅彦(評議員)などで審査委員の銓衡を進めており、その結果をうけて評議員会・理事会は永井龍男、中村光夫、舟橋聖一、山本健吉、吉行淳之介の五氏に審査委員を委奏することとした。三月二十七日に井上理事長は日本近代文学館で記者会見を行い、川端康成文学賞の設定の発表を行った。
授賞の規定は次のようになっている。
なお、川端康成生誕100年を記念して平成11年には賞の選考を一休止した。平成10年度25回の授賞までを
第一期とし、平成12年(2000年)から第二期を、小川国夫、秋山峻、井上ひさし、津島佑子、村田喜代子を審査委員としてスタートした。その後、小川国夫氏、井上ひさし氏、秋山峻氏が死去されたので、平成21年より辻
原登、平成23年より堀江敏幸、平成26年より角田光代が審査委員となった。
平成31年(令和元年)、令和2年の2年度におよび賞の選考を休止し、令和3年より第3期として賞を再開した。審査委員は第2期終了時と変わらず、荒川洋治、角田光代、辻原登、堀江敏幸、村田喜代子の各氏が就任した。
第3期第4回(通算第48回)川端康成文学賞は、新潮社による下読み・選定作業を経て、令和5年度の文芸、総合、読物の各雑誌、ならびに単行本に発表された短編小説から、候補として13編の作品が選ばれた。ついで令和5年3月9日、新潮社にて審査委員による第一次選考で候補作6編に絞りこまれた。令和6年4月4日、新潮社にて最終選考会が開かれ、町屋良平氏の「私の批評」が選ばれた。授賞式は令和5年6月21日、都内で行われる。
審査委員: 荒川洋治、角田光代、辻原登、堀江敏幸、村田喜代子
(令和3年、第三期が開始されました。)
第48回 | 令和6年 | 町屋良平 | 私の批評 | 文藝2023年春季号 | |
第47回 | 令和5年 | 滝口悠生 | 反対方向行き | 鉄道小説 | |
第46回 | 令和4年 | 上田岳弘 | 旅のない | 群像 2021年5月号 | |
第45回 | 令和3年 | 千葉雅也 | マジックミラー | ことばとVOL.1 |
審査委員: 荒川洋治、角田光代、辻原登、堀江敏幸、村田喜代子
(平成12年、故川端康成氏の生誕101年を機に第二期が開始されました。)
第44回 | 平成30年 | 保坂和志 | こことよそ | 平成29年新潮6月号 | |
第43回 | 平成29年 | 円城塔 | 文字渦 | 平成28年新潮5月号 | |
第42回 | 平成28年 | 山田詠美 | 生鮮てるてる坊主 | 平成27年群像9月号 | |
第41回 | 平成27年 | 大城立裕 | レールの向こう | 平成26年新潮5月号 | |
第40回 | 平成26年 | 戌井昭人 | すっぽん心中 | 平成25年新潮1月号 | |
第39回 | 平成25年 | 津村記久子 | 給水塔と亀 | 平成24年文学界3月号 | |
第38回 | 平成24年 | 江國香織 | 犬とハモニカ | 平成23年新潮六月号 | |
第37回 | 平成23年 | 津村節子 | 異郷 | 平成22年文学界一月号 | |
第36回 | 平成22年 | 高樹のぶ子 | トモスイ | 平成21年新潮四月号 | |
第35回 | 平成21年 | 青山七恵 | かけら | 平成20年新潮十一月号 | |
第34回 | 平成20年 | 稲葉真弓 | 海松 | 平成19年新潮二月号 | |
田中慎弥 | 蛹 | 平成19年新潮八月号 | |||
第33回 | 平成19年 | 小池昌代 | タタド | 平成18年新潮六月号 | |
第32回 | 平成18年 | 角田光代 | ロック母 | 平成17年群像十二月号 | |
第31回 | 平成17年 | 辻原登 | 枯葉の中の青い炎 | 平成16年新潮八月号 | |
第30回 | 平成16年 | 絲山秋子 | 袋小路の男 | 平成15年群像十二月号 | |
第29回 | 平成15年 | 青山光二 | 吾妹子哀し | 平成14年新潮八月号 | |
堀江敏幸 | スタンス・ドット | 平成14年新潮一月号 | |||
第28回 | 平成14年 | 河野多惠子 | 半所有者 | 平成13年11月、新潮社刊 | |
町田 康 | 権現の踊り子 | 平成13年群像七月号 | |||
第27回 | 平成13年 | 車谷長吉 | 武蔵丸 | 平成12年新潮二月号、新潮社刊『白痴群』所収 | |
第26回 | 平成12年 | 岩阪恵子 | 雨のち雨? | 平成11年新潮五月号 | |
目取真 俊 | 魂込め(まぶいぐみ) | 平成11年朝日新聞社刊 『魂込め』より |
審査委員: 永井龍男、中村光夫、舟橋聖一、山本健吉、吉行淳之介、井上靖、島尾敏雄、大江健三郎、水上勉、竹西寛子、三浦哲郎、秋山駿、田久保英夫
第25回 | 1998年(平成10年) | 村田喜代子 | 望潮 | 文學界一月号 | 水上・竹西・三浦・秋山・田久保 |
第24回 | 1997年(平成9年) | 坂上 弘 | 台所 | 新潮九月号 | 水上・竹西・三浦・秋山・田久保 |
小田 実 | 「アボジ」を踏む | 群像十月号 | |||
第23回 | 1996年(平成8年) | 大庭みな子 | 赤い満月 | 文學界一月号 | 大江・水上・竹西・三浦・秋山 |
第22回 | 1995年(平成7年) | 三浦哲郎 | みのむし | 新潮一月号 | 大江・水上・竹西・三浦 |
第21回 | 1994年(平成6年) | 古山高麗雄 | セミの追憶 | 新潮五月号 | 大江・水上・竹西・三浦 |
第20回 | 1993年(平成5年) | 司 修 | 犬(影について・その一) | 新潮二月号 | 吉行・大江・水上・竹西・三浦 |
第19回 | 1992年(平成4年) | 吉田知子 | お供え | 海燕七月号 | 吉行・大江・水上・竹西・三浦 |
第18回 | 1991年(平成3年) | 安岡章太郎 | 伯父の墓地 | 文藝春秋二月号 | 吉行・大江・水上・竹西 |
第17回 | 1990年(平成2年) | 三浦哲郎 | じねんじょ | 海燕五月号 | 井上・吉行・大江・竹西 |
第16回 | 1989年(平成元年) | 大庭みな子 | 海にゆらぐ糸 | 群像十月号 | 井上・吉行・大江・水上・竹西 |
筒井康隆 | ヨッパ谷への降下 | 新潮一月号 | |||
第15回 | 1988年(昭和63年) | 上田三四二 | 祝婚 | 新潮八月号 | 井上・山本・吉行・大江・水上 |
丸谷才一 | 樹影譚 | 群像四月号 | |||
第14回 | 1987年(昭和62年) | 古井由吉 | 中山坂 | 海燕一月号 | 井上・山本・吉行・大江 |
阪田寛夫 | 海道東征 | 文學界七月号 | |||
第13回 | 1986年(昭和61年) | 小川国夫 | 逸民 | 新潮九月号 | 井上・山本・吉行・島尾 |
第12回 | 1985年(昭和60年) | 高橋たか子 | 恋う | 新潮一月号 | 井上・中村・山本・吉行 |
田久保英夫 | 辻火 | 群像十月号 | |||
第11回 | 1984年(昭和59年) | 大江健三郎 | 河馬に噛まれる | 文學界十一月号 | 井上・永井・中村・山本・吉行 |
林 京子 | 三界の家 | 新潮十月号 | |||
第10回 | 1983年(昭和58年) | 島尾敏雄 | 湾内の入江で | 新潮三月号 | 井上・永井・中村・山本・吉行 |
津島佑子 | 黙市 | 海八月号 | |||
第9回 | 1982年(昭和57年) | 色川武大 | 百 | 新潮四月号 | 井上・永井・中村・山本・吉行 |
第8回 | 1981年(昭和56年) | 竹西寛子 | 兵隊宿 | 海三月号 | 井上・永井・中村・山本・吉行 |
第7回 | 1980年(昭和55年) | 野口冨士男 | なぎの葉考 | 文學界九月号 | 井上・永井・中村・山本・吉行 |
第6回 | 1979年(昭和54年) | 開高 健 | 玉、砕ける | 文藝春秋三月号 | 井上・永井・中村・山本・吉行 |
第5回 | 1978年(昭和53年) | 和田芳恵 | 雪女 | 文學界二月号 | 井上・永井・中村・山本・吉行 |
第4回 | 1977年(昭和52年) | 水上 勉 | 寺泊 | 展望五月号 | 井上・永井・中村・山本・吉行 |
富岡多恵子 | 立切れ | 群像十一月号 | |||
第3回 | 1976年(昭和51年) | 佐多稲子 | 時に佇つ(十一) | 文藝十一月号 | 井上・永井・中村・山本・吉行 |
第2回 | 1975年(昭和50年) | 永井龍男 | 秋 | 新潮一月号 | 永井・舟橋・中村・山本・吉行 |
第1回 | 1974年(昭和49年) | 上林 暁 | ブロンズの首 | 群像四月号 | 永井・舟橋・中村・山本・吉行 |
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